「瓦」
一般的な瓦屋根と言えば築年数の長い住宅でよく見かける「艶がある」「曲線の形状」という和瓦(日本瓦)をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、ひとことで「瓦屋根」といっても、素材によっていくつかの種類に分かれます。
主なものが、粘土瓦、セメント瓦、モニエル瓦です。これらはほとんどの場合漆喰手入れが必要な屋根瓦です。
焼き上げる前にガラス質の釉薬を塗布してあるのが「釉薬瓦」と言われるもので茶碗などを作るときと同じイメージです。陶器瓦とも呼ばれます。
「いぶし瓦」は窯のなかでいぶされて完成するので銀色や黒っぽい特徴があります。
セメント瓦は、セメントを主成分として成型した瓦です。
モニエル瓦は、セメントと砂利を主成分とし着色剤を表面に塗布した瓦で「乾式コンクリート瓦」とも言われています。
焼き上げて完成された粘土瓦は塗装が不要ですが、セメント瓦やモニエル瓦は定期的に塗装をしなければなりません。
ただしセメント瓦・モニエル瓦は粘土瓦ほど長寿命ではないため塗装や漆喰補修、全面リフォームの時期を見極める必要があります。

「漆喰」(しっくい)
漆喰とは、屋根瓦の1番上にあたる「棟(むね)」の台土を守るために塗り込んでいる材料です。
棟の下側白く塗り込まれたところを『漆喰(しっくい)』と言います。
漆喰は、定期的にメンテナンスを行う必要があります。

漆喰は、瓦や壁の上塗り、天井など様々な建築で使用されています。
漆喰の歴史は、5000年以上も前から世界中の様々な建築物に使用されています。
日本の伝統的な家屋・お城の壁などにも利用されています。

屋根の漆喰は、屋根の棟と瓦の間の隙間を埋め、
瓦の下にある屋根の葺き土(ふきつち)を雨風から守ります。

屋根瓦に使われる瓦の耐用年数は長いもので35年〜60年と長いものが多いのですが、
屋根の漆喰の寿命は瓦よりも短く15年~20年程度で表面にヒビが入ったり剥がれてきたりするのが一般的です。

漆喰は、消石灰を主とした材料のため瓦と違って耐用年数は短く、主に以下のような要因で劣化していきます。

雨風に晒されると朽ちてくる
直射日光や寒暖の差による劣化
時間と共に漆喰が痩せてくる

屋根の漆喰は、定期的なメンテナンスが必要です。
漆喰の劣化の状況を見ながら、必要なタイミングで漆喰の手入れを行うことで、
瓦屋根全体の耐用年数も保ち家屋全体の寿命も長持ちさせることができます。

見過ごされることが多い漆喰(しっくい)のダメージ
瓦屋根全体の耐用年数は長いのに対し、漆喰(しっくい)部分の劣化は
20年前後で出てくるものですが、
見過ごされてしまうケースが多いのが漆喰(しっくい)のダメージ。

家の下から屋根を見上げても、漆喰(しっくい)部分の劣化は
あまり気付きにくいこともあり、
剥がれた漆喰(しっくい)部分から、瓦の下の葺き土(ふきつち)が雨水に浸食され、
気付いた時には棟全体がダメージを受けているというようなケースも多いようです。

「漆喰」が剥がれてしまうことで起きる可能性のある症状です。
棟の台土の流出
漆喰が剥がれてしまうことで棟の台土(葺き土)が直接雨風にさらされてしまいます。
漆喰で台土(葺き土)をしっかりと保護することで屋根の耐久年数はかなり変わってきます。
屋根の耐久年数が変わってくると住宅の寿命も変わってきます。
瓦自体にしっかりと寿命があるため、漆喰の補修をしっかり行えば、
漆喰補修だけで屋根の維持できるというのが瓦屋根のメリットになります。
瓦の抜け落ち
直接風雨にさらされた瓦のズレなどから棟の中に雨水が侵入し葺き土を湿らし風化させます。
その結果、瓦への接着力がなくなり、また瓦がズレると言う悪循環を繰り返していきます。
ここで一番怖いのは、高い位置にあり見えにくいため、住んでいる方が気づきにくい点です。
雨漏り
最後に可能性がある症状としては、雨漏りとなります。
部屋の中で雨漏りがありますと、雨水が瓦の下に施行してあるルーフィング(防水シート)、
屋根の下地も通過していることから、ここまでの症状となった場合は屋根下地の補修も必要となることも多く
大きな費用がかかってしまいます。