「セメント」
セメントは灰色の粉末で水や液体を混ぜることで接着(接着性)、固まる(水硬性)という性質があります。
建築材料として用いられるセメントにはいくつか種類があります。もっとも多く使われているのが「ポルトランドセメント」です。
ポルトランドセメントは、石灰石や粘土などを混ぜて焼いた「クリンカ」に石膏(せっこう)を加え、粉末状にしたものです。
乾燥後の色や硬さといった性質がイギリスで産出される「ポルトランドストーン」に似ていることから名付けられました。
セメントは粉末状の素材でありそのままでは建築材料として使うことはできません。水などを加えて加工することによって初めて建築材料として使用できます。
この時セメントを加工したものが「コンクリート」や「モルタル」と呼ばれます。セメントはコンクリートやモルタルを作るための材料です。
粉末状のセメントは保管性や運搬性に優れているため工事現場まで運搬した上で使用する直前にコンクリートやモルタルに加工します。
一度に大量のコンクリートが必要な場合は、ミキサー車でセメントを混ぜ、コンクリートに加工しながら運搬します。

「コンクリート」
セメント+水+砂+砂利=コンクリート
コンクリートは、セメントに水・砂・砂利を混ぜ合わせて作る建築材料です。コンクリートの素材として使う砂・砂利のことを「骨材」と呼び、中でも粒子の大きな砂利を「粗骨材」粒子の小さな砂を「細骨材」と呼びます。セメントにも細骨材は含まれていますが、粗骨材が含まれるのはコンクリートだけです。
細骨材と粗骨材がセメントと結合することで、建築材料として十分な強度を生み出しているのです。
コンクリートの特徴とは?
セメントと骨材を混ぜて作られるコンクリートは、次のような特徴があります。
 ●強度が高いため、柱や梁、壁といった建物の構造体に使用される。
 ●圧縮力に強い一方、引っ張る力に対しては弱い。
 ●粘性が高いので、加工の自由度は低い。
コンクリートは強度が高いのが特徴ですが引っ張る力には弱いという弱点があります。この弱点をカバーするためコンクリートの中に鉄筋を入れた「鉄筋コンクリート」が広く採用されています。

「モルタル」
セメント+水+砂=モルタル

モルタルは、セメントに水・砂を混ぜ合わせて作る建築材料です。コンクリートと異なり、粗骨材となる砂利が含まれていません。
モルタルの特徴とは?
セメントと細骨材を混ぜて作られるモルタルには、次のような特徴があります。
 ●柔軟性があるため、建物の外壁やレンガ、ブロックの接着剤として使用される。
 ●装飾性が高いので仕上げ材にも適している。
 ●強度が不十分なので、建物の構造体には使用されない。
左官職人がコテを使って塗り付けるのがモルタルです。モルタルは粗骨材が含まれていないので柔らかく加工がしやすい点が長所です。